平成28年10月26日 第99回社会保障審議会医療保険部会が行われました。
今回の議題は大きく分けて2つ
(1)かかりつけ医の普及の観点からの外来時の定額負担について
(2)スイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付率の在り方について
薬剤師に直接影響があるのは(2)の方でしょう。
資料としてスイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付率の在り方について(PDF:749KB)が委員に配布されているようです。
社会保障審議会は厚労相の諮問に応じて色々と話し合って答えを出す会議ってところでしょうか。
厚労相「財政が厳しいから何とかいいアイデアを出してくださ~い」
社会保障審議会「こんなのやったら保険給付減らせますよ~どうですか?」って感じ?
2年に1度の診療報酬改定において社会保障審議会が決めたことが反映されているようで・・・
H24年度診療報酬改定
単なる栄養補給目的でのビタミン剤の投与
- 当該患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝異常であることが明らかであり、かつ、
- 必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合その他これに準ずる場合であって、
- 医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断したときを除き、
これを算定しない。
H26年度診療報酬改定
治療目的でない場合のうがい薬だけの処方
入院中の患者以外の患者に対して、うがい薬(治療目的のものを除く)のみを投与された場合については、当該うがい薬に係る処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料、調剤技術基本料を算定しない。H28年度診療報酬改定
外来患者について、1処方につき計70枚を超えて投薬する湿布薬
① 外来患者に対して、1処方につき計70枚を超えて投薬する場合は、当該超過分の薬剤料を算定しない。ただし、 医師が医学上の必要性があると判断し、やむを得ず計70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報
酬明細書に記載することで算定可能とする。
② 湿布薬の処方時は、処方せん及び診療報酬明細書に、投薬全量の他1日分の用量又は何日分に相当するかを記載する。
っていう縛りを提案していたようですね。
湿布の処方枚数制限はいろいろな事件を生みました。
現場としては実施されると結構面倒くさいな~って印象。
さて、次回は何が縛られるんですかね???
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そして、H30年度以降診療報酬改定に向けて
次回の診療報酬改定に向けてスイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付率の在り方について2016年末までに結論を出すため今日集まったのです。
年内に結論が出れば、年明けに必要な法改正などを行うようです。
資料にはスイッチOTCのリストも載っていましたが、これ全部保険の給付から外すのは難しいと思います。
ロキソプロフェンにはOTCがあるので、ロキソニン錠・テープ・パップ・ゲルなど全部保険外になったら整形外科&門前は死んでしまう・・・
この議題は今日が初めてというわけではなく以前(平成21とか?)から話し合われていたが、以下のような理由から慎重な意見が多かったそうです。
- 市販品類似薬を保険給付外とした場合、それらの医薬品を使用している患
者の負担が増えることになり、この点の理解を得る必要があること。 - 市販品類似薬には、市販品と異なる重篤な疾患の適応を有するものがあること。
- 市販品類似薬を保険給付外とすることで、製薬企業が新規成分の市販品の
発売を躊躇するなどの問題があること。 - 市販品類似薬であるという理由で保険給付外とすることで、かえってより高額な薬剤が使用される可能性があること。
まぁ当然と言えば当然ですね。
今まで花粉症でアレグラをもらっていた人が、「今年からアレグラは保険給付の範囲外になるので、自費になります!」って言ったら納得しないだろうし、そらなら保険でもらえる薬(ザイザルとか?)を出してもらったほうが安いからそっちを先生にお願いするわ!って話になりますよね。
メーカーとしても、ジェネリックで売り上げが落ちているところに、さらに自費扱いになったら売り上げがさらに落ちるでしょう。鎮痛剤や胃薬等スイッチOTCになりそうな品目は研究開発しないほうが得になってしまいます。
ガスター等は医療用とOTCでは用法用量、効能効果が違ったりするので、全て自費にすることができないのです。(医療用は1日40mgまで、OTCは20mgまで等)
とはいえ、今回の議論だけでなく保険給付を減らす方法を検討することは必要だと思います。
だってお金がないんだから・・・。