ハーボニー配合錠の偽造品を調剤した薬局名が報道される
(日テレ系スッキリで報道)
前代未聞と言われる、薬局で偽造された医薬品を調剤したという偽造ハーボニー事件。
1月19日「RISFAXの記事」や「日テレ系のTV番組スッキリ!!」でも薬局名が報道されました。
報道によるとハーボニー配合錠の偽造品を調剤したのは株式会社関西メディコのサン薬局とのこと
(1月23日:関西メディコが偽造品を発見したことを正式にウェブで発表)
Contents
関西メディコってどんな会社なの?
関西メディコのウェブサイトによると
奈良県・京都府南部で57店舗を数える保険調剤専門チェーン「サン薬局」を経営(実際は59?)
有料老人ホーム「ひまわり生駒苑」売上高:161億円8300万 (平成28年9月現在)
従業員数:550名 (平成28年9月現在)
【サン薬局】 薬剤師284名 他176名
【ひまわり生駒苑】 看護師11名 ケアマネージャー5名 介護福祉士5名 介護ヘルパー20名 その他8名
結構な大きなチェーンで、在宅なども積極的に行っている薬局のようです。
「うかつだった」と関西メディコ吉田専務
偽造品が含まれていた業者からの仕入れ値はボトル1本につき、指定業者に比べ数パーセント
2~3万円安かったとJIJI.COMの取材に答えています。
たった、2~3万。
偽造ハーボニーを取り扱ったのはサン薬局のうち3店舗
- サン薬局平群店(へぐり店)
- サン薬局平松店:ここが患者さん調剤してしまった
- サン薬局三室店(みむろ店)
このうち、1.のサン薬局平群店にハーボニーは一度納入され
そこから平松店、三室店に社内で譲渡されていたようです。
3月7日の奈良県の発表によると平群店と三室店に行政処分を行う事になったそうです。
偽造品を患者さんに調剤したサン薬局平松店に対する行政処分は、
奈良市が改善措置命令を県と同時に執行する予定とのこと。
※改善措置命令以外の処分については、現在検討中
(奈良県薬務課より)
バラ28錠は製造中止。PTP14錠包装へと切り替えに
この事件を受けて、ギリアド社はハーボニーをバラ28錠→PTP14錠への切り替えを前倒しし
3月1日からPTP包装の出荷を始めています。
今後はバラ包装のハーボニーを調剤する機会も少なくなるかとは思いますが
メーカーであるギリアド社や厚生労働省はアナログながらハーボニーの処方箋が来た時の対応を発表しています。
ハーボニー配合錠の処方箋が来たら
販売元のギリアド社もアナウンスしているように
現時点でハーボニーの処方箋を受けて調剤薬局の薬剤師がすべきことは
- 正規の卸から薬を購入する
- 納入された製品を確認する↓
- 必ず製品を開封し、錠剤を確認してお渡しする。
ハーボニー配合錠(正規品)はだいだい色のひし形の錠剤で
一方の表面には「GSI」、その反対側には「7985」と刻印されている
(ギリアド社ウェブサイトより)
一番アナログなやり方ですが、実際に目で見て確認するしかない。
それでも未開封のボトルを希望する患者さんもいるだろうなぁ~
そういう時には対応が難しいですが、今回、奈良であった事件を説明して確認してもらうしかないですね。
ハーボニーの処方箋が来たら2(厚生労働省)
C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品について(第3報)より
1.これまでに発見されている「ハーボニー配合錠」の偽造品については、
いずれも外箱(紙箱)に収められておらず、本来流通することがない
ボトル容器単体の状態で流通していることが確認されている。
このため、「ハーボニー配合錠」を譲り受ける際に、外箱(紙箱)に収められていない
ボトル容器単体の状態のものは譲り受けないこと。
なお、「ハーボニー配合錠」の正規品及びこれまでに発見されている「ハーボニー配合錠」の偽造品の形態
については、別紙を参照すること。
2.「ハーボニー配合錠」の取扱実績のある卸売販売業者、薬局及び医療機関においては、
「ハーボニー配合錠」の在庫品及び過去の取扱状況の確認を行い、外箱に収められていない在
庫品が存在している又は過去に取扱っていた可能性がある場合には、
速やかにその旨を所管の都道府県等に報告すること。
この際、当該医薬品の譲渡人の氏名等の情報についても、都道府県等の求めに応じて提供すること。
3.外箱に収められていない在庫品が存在している場合、当該在庫品の販売や調剤は行わず、
所管の都道府県等から指示があるまでは他の医薬品と区別して保管すること。
4.医療機関及び薬局において、「ハーボニー配合錠」を調剤した患者等から、偽造品の疑い
がある旨の情報等が寄せられた場合には、患者等に持参を求め、
別紙を参考に異常がないか等の確認を行うこと。
偽造品の疑いがある場合には、速やかに所管の都道府県等に連絡すること。
5.偽造品を服用していたおそれがある患者を把握した際には、薬局においては、当該患者
の処方箋の発行元医療機関に情報提供を行うとともに、医療機関においては、当該患者の
診療状況の確認を行うこと。
結局、現金問屋から買ったのか?
やはり気になるのは購入先ですよね。
ハーボニーの薬価は1錠で54,796.9円(2017年1月時点)、1瓶(28錠)で1,534,313.2円になります。
数日前まで、「ハーボニー 買い取り」で検索すると1瓶92万円(薬価の6割)ぐらいで買い取りする現金問屋が複数あったのですが
19日朝の時点でハーボニーの取り扱いがなくなっているようです。
サン薬局がこういった卸から購入していて、そういった情報が出る前に引っ込めたのか
それとも今後需要がなくなるという予想から買い取りをやめたのかは分かりませんが・・・
流通に関しては購入先やどういった経緯でそこの卸(?)にハーボニー配合錠が入ったのか?など続報が待たれます。
→1月23日発表の第2報で複数の卸が転売を繰り返してサン薬局に届いたようです。
関西メディコに納入した卸の名前が判明
RISFAXによると
- 野川薬品有限会社(東京)
- 株式会社三井薬品(東京)
- 株式会社グローバルネットエルズ(大阪)
- 株式会社和光薬品(大阪)
の4社とのこと。(情報ありがとうございます)
三井薬品は元厚生労働大臣の三井氏が1975年に立ち上げた現金問屋みたいだけど、他の3社は正直よくわからん・・・
後の行政処分の様子からすると三井薬品は偽造ハーボニーは納入していかなったようです。
少しずつ分かってきているけれど、謎もまだ多い
箱やインダクションシールの状態はどうだったのか?
→箱や添付文書は無かった、恐らくインダクションシールもないと思われる。
混入していた薬は何???
→分析結果が判明
- まだら模様の薄い黄色の錠剤については、複数のビタミン類を含有する錠剤(マルチビタミンのサプリ):事例1.2
- 薄い紫色の錠剤については、鼻炎、感冒などの時に服用する漢方製剤:事例2
- 「ソバルディ錠400mg」と外観が類似する錠剤については、「ソバルディ錠400mg」:事例3.4
- 「ハーボニー配合錠」と外観が類似する錠剤については、「ハーボニー配合錠」:事例4
(ギリアド社ウェブサイトより)
既に飲んでいる患者さんや普段調剤している薬剤師が見たら違うって一瞬で分かりますよね?
かなり雑と言えます。
ただし、本物と同じような色や形、刻印にされたら見分けるのは一気に難しくなりそう。
1月23日 関西メディコがコメントを発表
一部抜粋
また、発表にありますとおり、すぐに投薬した患者様に問い合わせを行い、
お渡ししているハーボニーが正規品であることを確認いたしております。
弊社はスズケン以外に、医薬品卸売販売業4社よりハーボニーを購入しておりました。
すべて医薬品医療機器等法はじめ関係法規に抵触する事のない取引であり、
在庫数や入庫履歴、偽造品数より12月下旬の購入分であることは推察されましたが、
今回の偽造品が紛れた流通経路の解明に時間を要するため、
まずは「注意喚起」として厚生省・ギリアド社から弊社名・詳細を伏せた形で発表されました。中略
併せまして、一部業界紙に「違法な取引」、「ギリアド社より告訴」とも取れる表現がなされたことは
非常に遺憾ですが、前述のとおりそのような事実がないことはお約束する次第です。
医薬品卸売販売業4社・・・やはり噂されている現金問屋なのか???
勿論、現金問屋は医薬品の卸売業の免許をもっているので、そこから医薬品を購入することは法律上は問題ないかと思われますが
今回の件に関して、仮に現金問屋から購入していたとすると「やっぱりそうか~~」という声が聞かれそうです。
過去から現金問屋がらみの事件はありますからね・・・
1月24日のRISFAXでスズケン以外の仕入先4社が載っていたそうです。
ハーボニー偽造薬 新たに9個発見 都内の卸売業者2カ所(産経ニュース)のコメント欄に
教えてくださった方がいました
3月13日 ようやくサン薬局にハーボニーを納入した卸が発表される
サン薬局に偽造ハーボニーを卸していた流通ルート・卸名が判明(行政処分)。以下の6社が関係していました。
- 株式会社エール薬品(東京都)
- 大興薬品株式会社(東京都)
- 有限会社高洋薬品(東京都)※高は旧字
- フジ薬品株式会社(東京都)
- 野川薬品有限会社(東京都)
- 株式会社グローバルネットエルズ(大阪府)
偽造ハーボニー事件、サン薬局に追加の行政処分
偽造ハーボニーの流通に関係した奈良県のサン薬局のうち2店舗に
追加の行政処分を行うことが発表されました。
サン薬局平群店
- 業務停止命令(医機法第75条第1項)
3月22日(水)~26日(日)の5日間、サン薬局平群店の業務停止を命じる。 - 管理者変更命令(医機法第73条)
サン薬局平群店の管理者の変更を命じる。
この平群店にハーボニーが一度納入されて、その後他の店舗に運ばれる事になった大本の店舗です。
サン薬局平松店
- 業務停止命令(法第 75 条第1項)
平成 29 年3月 22 日(水)~26 日(日)の5日間、サン薬局平松店の業務停止
を命じる。 - 管理者変更命令(法第 73 条)
サン薬局平松店の管理者の変更を命じる。
実際に患者さんに調剤してしまったのが平松店。
サン薬局三室店
- サン薬局三室店に関しては現時点での追加の行政処分は発表されていないようです
在庫として偽造ハーボニーはあったものの、患者さんに渡す前だったのが三室店。
偽造ハーボニー事件、卸した業者に業務停止の行政処分(4月12日)
業務停止の行政処分を受けたのは以下の2社
- エール薬品(12日間)
- 大興薬品(8日間)
2社に関しては、「改善措置命令」に加えて「業務停止命令」も出されたようです。
厚生労働省・奈良県発表の資料
厚生労働省発表の資料
- C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品について(第1報)1月27日
- C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品について(第2報)1月23日
- C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品について(第3報)1月25日
- C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品について(第4報)2月1日
奈良県(薬務課)発表の資料
- 県内で発見されたC型肝炎治療薬「ハーボニー ® 配合錠」の偽造品への対応について(第1報)1月17日
- 県内で発見されたC型肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」の偽造品への対応について(第2報)1月23日
- 県内で発見されたC型肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」の偽造品への対応について(第3報)2月1日
- 県内で発見されたC型肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」の偽造品への対応について(第4報)2月7日
- 県内で発見されたC型肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」の偽造品への対応について(第5報)3月7日
- 県内で発見されたC型肝炎治療薬「ハーボニー®配合錠」の偽造品への対応について(第6報)3月16日